002
生焼けの世界

半熟卵を突き破る
シソーラス、僕の想いを代弁してよ
苦味がない世界だなんて
低体温動物
オレンジ色を閉じ込めて
5年越しの余熱
「噛み切れないよ」

ほら、貴方が触れれば (溶けてしまう)

お次は→ くるくるくる



004
ブルーバード・クライシス

バイマイアイロニー
風花の焦燥
この胸からすり抜けてしまえ
PAN PAN PAN
十秒間の逢瀬
君の歌声が雨を呼ぶ
いまここにある危機
溶け出した灰空

剥がれた青色


お次は→ 「上ハラミ至急一皿追加で」



006
帰還理由

さよならさんかく

「俺には、牛の幸子が待ってる」
窓辺の金魚鉢
余白二日
滲む葬列
伏せた写真立て
「そうやって、言い訳ばかり上手くなるのね」

またきてしかく


お次は→ 24色



008



ひと、ひとり
ひつぎのひつじ
ひすいのびすい
ひうおのひさめ
ひとあめ、ひとあわ
ひかのひみつ
ひらめのひょうほん
ひかげのひがさ
ひばりとひなげし
びゃっこひゃっけい

ひび、びび、ひびく、ひび

(ひと、ひとり、棺、日嗣、柩、羊、未、翡翠、微酔、微睡、氷魚、氷雨、一泡、一雨、皮下、非歌、秘密、鮃、比目魚、標本、日陰、日傘、日笠、雲雀、雛罌粟、百狐、白虎、百計、日々、罅、皹、微々、響く)

お次は→ <Title>   </Title>




010
今は昔

瞬きとともに
紫煙に埋めた
錆びた冬空
冷えたコーヒー、凍えた目蓋
染み付いた血臭
弔い豪雨
所詮は
過去の亡霊


握ったこの手を (離したのは、君だろう)


お次は→ わたしのかみさま



012
67番目の犯行

雪崩起こしたピザの箱
犯行予告はカップの底に
65敗1引き分け
警視がついに眼鏡を外すぞ!
ネズミ一匹犬千匹
いいえ、ただの清掃員です
触れた瞬間鳴り響く
「うばーちゃった」


24時から始まる喜劇

お次は→ メロウメロディ



014
お見合い結婚物語

うちの両親の話なんですがね
お日取りよろしくどしゃぶり料亭
結婚適齢恋盛り
彼女は思いました、コイツ将来ハゲそう
彼は思いました、寄せてあげてせいぜいCだな
共通点は慣れない正座で足が痺れた、それだけです
今回は親の顔を立てときましょう
のらりくらりと仮面トーク
おっとここでハプニング!


その後の二人? 論より証拠ってヤツですよ


お次は→ 不機嫌なシェフ



016
恐怖!聖なるヴァレンタイン

二月の行事は節分だろ?
恵方捲きはしっかり食べた
そして来るは14日
朝のニュースで気付いたよ。
ついでに射手座は最下位だ
電車の中から憂鬱で
到着したら更に倍
義理チョコ友チョコ、自分チョコ
はいはいモテ男は死んでください


ちょこっとちょこちょこみちょこちょこ。あわせてちょこちょこむちょこちょこ


お次は→ 本の虫と5つの謎



018
春は来たりぬ

ひとつ、ふたつ (雪解けが恋しい)
みっつ、よっつ (指折り数えて)
いつつ、むっつ (白く棚引く)
ななつ、やっつ (凍えた湖面に)
ここのつ (緑で潰して)
とお (君を残して)(逝けはしない)

数え歌、歌い終わって目蓋を上げれば
目隠し越しに、春がくる


お次は→ 僕がさよならをいうときは



020
手の中の幸福

あんまん贔屓
「あててごらん」
仄かな心音
繋ぎとめてね
9号リング
この手の平が、覚えている
ココアとポタージュ
新品の匂い
合鍵はもういらない
バスがくるまで
ここにいてよ


しまった。降参だ


お次は→ 公衆電話が消えた理由




>>021
_index.html